クレーム対応

■クレーム対応の重要性

企業活動においては、いかにして適切なクレーム対応をできるかが問われます。

 

クレームとは、商品・サービスに不満をもつ顧客が、企業に対して問題点を指摘したり、苦情を述べたり、場合によっては損害賠償を請求したりする行為のことで、経営者や対応に追われる従業員にとっては悩みの種でしょう。しかし、クレーム対応を誤ると、相手に不快感や怒りを抱かせて企業の社会的信用に傷がつき、また対応に当たった担当者を疲弊させ、退職者を生むことにもつながりかねません。加えて、クレームの中には不当・理不尽な要求だけでなく、正当で商品・サービスの改善につながるものもあるため、クレーム対応を怠ると企業の成長に支障を来すことにもなります。企業の発展や従業員を守るという点で、適切なクレーム対応が必要となります。

 

■クレーム対応の順序

適切なクレーム対応を行うためには、クレーム対応のマニュアルを作成し、クレームに対する体制の構築・整備が重要となります。事前に体制を構築しておくことで、現場を混乱させず、円滑な対応を行うことができます。

 

クレーム対応の順序としては以下の通りです。
(1)クレームの発生
(2)会社内の情報共有
(3)事実関係の確認(顧客、従業員等の関係者の聴取、客観的証拠の収集)
(4)クレームの原因の特定および分析
(5)正当なクレームか不当なクレームかの峻別
(6)方針の決定及び方針に従った対応
(7)対応結果の情報共有

 

●(1)クレームの発生

クレームは、商品やサービスが顧客の期待に添わないときに発生しますが、特に従業員やスタッフのミスから発生するクレームは少なくありません。どのようなミスがクレームとなりやすいのか周知徹底し、重大なクレームとなりやすいものは社内で共有し、チェック体制の強化など必ず対策を講じるようにしましょう。

 

●(2)社内での情報共有

クレームを行った顧客は、企業が何らかの対応を行ってくれると期待します。対応が遅れれば遅れるほど、顧客の不満の増大、企業の信用性の低下という不利益が生じるため、社内の情報共有は迅速に行いましょう。

 

●(3)事実関係の確認(顧客、従業員等の関係者の聴取、客観的証拠の収集)

どのような内容のクレームか事実関係を確認します。まずは調査担当者を決定し、顧客や対応に当たった従業員等の関係者から話を伺ったうえで時系列表を作成し、事案の概要を把握します。企業側から収集できる客観的証拠の調査・収集を行い、適宜、失礼にならない程度に顧客から客観的な証拠を提示してもらうことも検討します。

 

●(4)クレームの原因の特定および分析

調査結果をもとに、クレームが発生した原因を特定し、原因となった事象を分析します。

 

●(5)正当なクレームか不当なクレームかの峻別

上記の原因の特定・分析結果をもとに、正当なクレームか不当なクレームかを判断します。判断のポイントとしては以下の通りです。
・企業側に債務不履行はあるか(契約通りの商品・サービスを提供したか)
・企業側に帰責事由(ミスや不手際)があるか
・債務不履行によって、顧客側に何らかの具体的な損害が生じているか
・損害に裏付けはあるか(あるいは裏付けがないが合理的に認められるものか)
・顧客側の要求内容は適正・妥当なものか
・顧客側の要求の方法は適正・妥当なものか

 

●(6)方針の決定および方針に従った対応

正当なクレームの場合、顧客に対して迅速に謝罪、被害内容に応じた適切な賠償・補償を検討します。不当なクレームの場合、対応できない理由について説明し、丁寧に拒否しましょう。

 

●(7)対応結果の情報共有

最後に,同じトラブルが生じないよう対策を講じるため、クレーム受付から解決・改善までの経過と結果について記録し、分析結果などを共有します。

 

■クレーム対応のポイント

クレーム対応を行う際は次の点に注意しましょう。
・対応を行う際は事実関係を確認する
・初動対応が遅れないようにする
・クレーム対応の際は言葉遣いを正し、相手を刺激しないよう配慮する
・合理的な理由がない限り、対応には時間をかけない
・無意味な謝罪を行わない・開き直らない
・不当なクレームと決めつけず、事実関係の確認・原因の特定を行うまで正当なクレームとして対応する
・顧客からのクレームに言われるがままに対応しないようにする
・実現が困難な約束は行わない
・クレームは必ず社内で共有し、単独で対応しない。クレームに即答しない
・悪質なクレームには複数人で対応し、毅然な態度をとるようにする。場合によっては警察に通報する

 

クレーム対応の誤りにより、企業に大きな損害が生じる場合があります。クレーム対応でお悩みの際は弁護士等の専門家に相談することで、適切な解決につながります。

 

弁護士 福岡祐樹(中嶋法律事務所)は、新宿区、文京区、中央区、千代田区、江東区、渋谷区を中心に、クレーム対応に関するご相談を承ります。当職は企業法務(会社経営一般や契約レビュー、ビジネスモデルの構築、危機管理など)、医療機関、社会福祉施設経営一般、不動産などさまざまなご相談に対応しております。
クレーム対応でお悩みの際は、当職までご相談ください。

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弁護士紹介

弁護士 福岡祐樹

所属団体
第一東京弁護士会
注力分野

債権回収

介護事業(経営側)

不動産

企業法務

執務方針
依頼者の皆様のご依頼、ご要望を最大限実現するために、誠実に粘り強く取り組みます。
経歴
2002年3月 香川県立高松高等学校 卒業
2006年3月 東京大学法学部 卒業
2008年3月 東京大学大学院法学政治学研究科 卒業
2009年12月

弁護士登録(62期)

田辺総合法律事務所入所

2013年3月 民間企業へ社内弁護士として出向(2016年3月まで)
2016年4月 中嶋法律事務所入所
著書・講演 等

『【Q&A】大規模災害に備える企業法務の課題と実務対応』(清文社・共著)

『会社が労働審判手続を申し立てられた場合の実務対応』

(BUSINESS LAW JOURNAL 2012.3 No.48)

『病院・診療所経営の法律相談』(青林書院・共著)

『企業間契約交渉におけるトラブルと実務上の留意点~契約締結上の過失を中心に~』(BUSINESS LAW JOURNAL 2014.4 No.73)

『わかりやすい保育所運営の手引-Q&Aとトラブル事例-』

(新日本法規・共著)

『逐条 破産法・民事再生法の読み方』(商事法務・共著)

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