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悪質なカスハラに困っています。弁護士に依頼するメリットとは?

■カスタマーハラスメントとは

カスタマーハラスメントは、企業の業務の妨害になるほか、対応する従業員の精神的負担にもなるため、毅然とした対応が求められます。

 

企業や業界により、顧客等への対応方法・基準が異なることから、カスタマーハラスメントを明確に定義することは困難ですが、企業の現場において、カスタマーハラスメントとは、顧客等からのクレーム・言動のうち、要求の内容の妥当性に照らして、 要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、労働者の就業環境が害されるものを言うとされています。

このページでは、悪質なカスタマーハラスメントに対する対応と弁護士に依頼するメリットを紹介します。

 

 ■事実関係の確認

顧客や取引先の方からの主張、意見は、企業にとっては貴重な財産であり、これらをすべてカスハラの主張と決めつけて対応することは、かえって企業の価値を傷つける結果となります。そのため、まずは事実確認を行う必要があります。

 

事実確認を行ったうえで、悪質なカスハラに該当するのか、それとも正当な意見であるのか判断する必要があります。

事実確認を行う際には、「いつ(When)、どこで(Where)、誰が(Who)、誰に(Whom)、なぜ(Why)、何を(What)、どのように(How)」という、6W1Hで整理します。

事実確認を行う際には、このような整理を心がけるとともに、主観的な評価や推測を避け、証拠や他の事実関係との整合性を確認し、客観的かつ正確な事実関係を把握することが重要です。

弁護士が事実関係を整理する場合には、時系列表というものを用います。当事務所でも、相談者の方に事実関係を整理していただく際に、時系列表を作成していただくことがあります(時系列表のダウンロードはこちら)。この時系列表に、先ほどの6WHを意識して、整理をしていきます。

 

 ■カスタマーハラスメントかどうかの判断

事実関係が確認できた場合には、顧客の主張がカスタマーハラスメントかどうかを判断していくことになります。

 

ここで、カスタマーハラスメントの定義をもう一度確認してみましょう。

カスタマーハラスメントとは、顧客等からのクレームや言動のうち、要求の内容の妥当性に照らして、 要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、労働者の就業環境が害されるものをいいます。

 

つまり、カスタマーハラスメントかどうかの判断基準としては、以下の基準から判断することとなります。

・顧客等の要求の内容が妥当性を欠くかどうか

・要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当な言動かどうか

 

まず、顧客等の要求の内容が妥当性を欠く場合としては、企業の提供する商品・サービスに瑕疵や過失が認められない場合が挙げられます。

顧客等が購入した商品に瑕疵がある場合や、過失により不適切なサービス提供をしてしまった場合などは、謝罪とともに商品の交換や返金に応じることは適切な対応と言えます。

一方、自社の過失や商品に瑕疵がないのに、様々な要求をしてくる場合は、顧客等の要求に正当な理由がないと考えられます。

また、自社の過失や商品に瑕疵がある場合でも、過失や商品の瑕疵と顧客等の主張との間に因果関係が認められない場合は、顧客等の要求に正当な理由がないと考えられます。例えば、商品に瑕疵があったものの、顧客等に何の損害が生じていないにもかかわらず、商品の返金以上の多額の金員の要求をしてくるような場合が挙げられます。

 

次に、顧客等の要求内容が妥当であったとしても、要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当な言動な場合は、カスタマーハラスメントになり得ます。

例えば、長時間に及ぶクレームは業務の遂行に支障が生じるという観点から、社会通念上相当性を欠く場合が多いと考えられますし、その言動が、暴力的、威圧的、継続的、拘束的、差別的、性的であるような場合は、社会通念上不相当であると考えられ、カスタマーハラスメントに該当しえます。

 

なお、顧客等の要求が明らかではない場合、要求を明確にしてもらうとよいでしょう。誠意を示してほしいといわれることも多いですが、具体的な内容を明らかにしてもらうことで、カスタマーハラスメントの判断に資することになります。

 

 ■カスタマーハラスメントを弁護士に委任する場合のメリット

カスタマーハラスメントであると判断した場合、企業としては、顧客等の要求に応じることなく、毅然とした対応を行う必要があります。  

 

カスタマーハラスメントへの対応は、企業において一次的に行われることが多いですが、企業に顧問弁護士がいる場合など、早期にアクセスができる状態であれば、事実調査や現場での対応について、アドバイスを得ながら対応でき、状況がエスカレートすることを防ぐこともできるととともに、従業員が安心して顧客等の対応を行えるので、従業員の負担を軽減することもできます。

 

もっとも、顧客等の要求や対応が苛烈であり、従業員の負担が大きく、企業において対応が難しくなってくるケースがあります。

 

そのような場合は、弁護士を企業の代理人として選任し、顧客等の対応を行ってもらうことを検討します。

弁護士に委任することで、弁護士が顧客等と交渉を行うことになりますので、法律に則った適正な解決を図ることができます。

なお、カスタマーハラスメントにより企業に損害が生じている場合には、逆に顧客等に損害賠償請求を行うことなども検討することになります。

 

このように、カスタマーハラスメントへの対応を弁護士と連携しながら進めることで、企業の負担を減らすことができ、企業として正常な事業活動を行うことができます。

これが、カスタマーハラスメントについて、弁護士に依頼するメリットと言えるでしょう。

 

弁護士・福岡 祐樹(中嶋法律事務所)は、企業法務をめぐる様々なお悩みにお応えいたします。

クライアントのご希望に沿ったベストな解決策を提案していきますので、企業法務でお困りの方は、弁護士・福岡 祐樹(中嶋法律事務所)までお気軽にご相談ください。

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弁護士 福岡祐樹

所属団体
第一東京弁護士会
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企業法務

執務方針
依頼者の皆様のご依頼、ご要望を最大限実現するために、誠実に粘り強く取り組みます。
経歴
2002年3月 香川県立高松高等学校 卒業
2006年3月 東京大学法学部 卒業
2008年3月 東京大学大学院法学政治学研究科 卒業
2009年12月

弁護士登録(62期)

田辺総合法律事務所入所

2013年3月 民間企業へ社内弁護士として出向(2016年3月まで)
2016年4月 中嶋法律事務所入所
著書・講演 等

『【Q&A】大規模災害に備える企業法務の課題と実務対応』(清文社・共著)

『会社が労働審判手続を申し立てられた場合の実務対応』

(BUSINESS LAW JOURNAL 2012.3 No.48)

『病院・診療所経営の法律相談』(青林書院・共著)

『企業間契約交渉におけるトラブルと実務上の留意点~契約締結上の過失を中心に~』(BUSINESS LAW JOURNAL 2014.4 No.73)

『わかりやすい保育所運営の手引-Q&Aとトラブル事例-』

(新日本法規・共著)

『逐条 破産法・民事再生法の読み方』(商事法務・共著)

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