債権の時効について
債権回収の際は、「消滅時効」に注意が必要です。
消滅時効とは、債権の回収ができるようになってから一定の期間が過ぎた場合、債権を消滅させる制度です(ただし、消滅には相手方が消滅時効を援用することが必要)。
「いつか返してくればいい」と悠長に考えていると、請求権が消滅して債権が回収できなくなるおそれがありますので、時効期間には気をつけるようにしましょう。
時効期間は、平成29年民法改正(2020年(令和2年)4月1日施行)の影響を受け、これまであった短期消滅時効の規定(旧民法169条以下)が削除され、ある程度の統一化が図られました。
通常の債権であれば改正民法166条の規定に従い、
①債権者が権利を行使することができることを知ったときから5年間(主観的起算点。同条1項1号)
②権利を行使することができるときから10年間(客観的起算点。同条1項2号)
という期間内に権利を行使しない場合は、消滅時効により請求できなくなります(なお、166条2項や167条以下も参照。また、別段の定め(724条など)がある場合はそれによる)。
消滅時効は上記のように「債権者が権利を行使することができることを知ったとき」(166条1項1号)、「権利を行使することができるときから」(166条1項2号)進行を始めますが、法律に定められた特定の行為をすれば、その期間の進行をゼロに戻したり、進行を停めたりすることができます。
進行していた期間をゼロに戻し、新たに期間が進行するものを、「時効の更新」と呼ばれます。旧民法で「時効の中断」とよばれてきたものが民法改正により変更されました。「時効の更新」が生じる場合としては、裁判上の請求を行って確定判決等により権利が確定した場合(改正民法147条1項1号、同条2項)や、債務者が債務を承認した場合(同法152条1項)などがあります。
時効の進行を一時的に停めるものは、「時効の完成猶予」と呼ばれるもので、こちらも旧民法で「時効の停止」と呼ばれていたものが民法改正により変更されました。
「時効の完成猶予」が生じる場合としては、上記の裁判上の請求を行ったものの、審理中である場合(同法147条1項1号)や、催告をした場合(同法150条)、協議を行う旨の合意をした場合(同法151条)などがあります。
旧民法の下では、職業別各種債権、商事債権、定期給付債権の消滅時効(旧民法169条から174条、旧商法522条)など期間がまちまちで複雑なものでしたが、民法改正によりある程度シンプルな制度になりました。
そのため、2020年4月1日以降に生じた債権については上記の改正民法が適用されますので、債権管理は楽になったといえますが、時効の起算点など、法律に詳しくない方にとっては難しい部分もあります。
2020年3月30日以前に生じた債権については、依然として旧民法下での複雑な時効期間が適用されることに注意が必要です。
消滅時効が完成してしまった場合、債権回収が不可能となってしまいますので、債権の時効についてお悩みの際は、弁護士などの法律専門家に相談するようにしましょう。
弁護士福岡 祐樹(中嶋法律事務所)は、債権回収をめぐる様々なお悩みにお応えいたします。新宿区、中央区、文京区、千代田区、渋谷区、江東区(東西線、大江戸線、JR有楽町線、南北線周辺)をはじめ、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県などの関東地区一帯のご相談を承ります。
クライアントの希望に沿ったベストな解決策を提案していきますので、債権回収でお困りの方は、当職までご相談ください。
弁護士 福岡祐樹が提供する基礎知識
-
強制執行(差押え)の...
強制執行とは、お金を支払わない債務者や、不動産を明け渡さない債務者に対して、裁判所が請求を強制的に実現する手続きのことをいいます。強制執行をするためには、債務名義を得る必要があります。債務名義は、裁判で勝訴判決を得た場合 […]
-
職員の労働問題とは
■介護職員の労働災害 介護は一般的に大きな負荷がかかる職業です。それゆえに、業務を原因とした傷病が発生しやすい傾向があります。従業員の安全確保は使用者の義務であることから、他の業種以上に安全衛生状態の維持改善と労災発生時 […]
-
契約書の作成
■契約書を適切に作成する重要性 企業は、売買契約書、賃貸借契約書、請負契約書、業務委託契約書、雇用契約書、株式譲渡契約書、秘密保持契約書など、日々様々な契約書を作成します。 しかし、民法上、契約は、原則として、契約書など […]
-
ハラスメントの定義や...
近年、セクシャルハラスメント、パワーハラスメント、マタニティーハラスメントなど、ハラスメントという概念が世の中で一般的に使用されるようになり、職場においても大きな問題となっています。 これらのハラス […]
-
介護事故の回避と対応...
介護事故が発生すると様々な法的リスクが生じます。まず、介護事業者は、被害者に対して損害賠償責任などの民事上の責任を負うリスクがあります。次に、介護事業者は、介護事故が発生すると、行政に対して事故報告を行わなければなりませ […]
-
顧問弁護士がいるメリ...
「中小企業で社内に法務部がないため、弁護士との顧問契約を検討しているが、相談内容に制限はあるのだろうか。」 「顧問弁護士のいる会社と、顧問弁護士のいない会社で、どういった違いがでてくるのだろうか。」 顧問弁護士という存在 […]
よく検索されるキーワード
-
- 介護事業トラブル 弁護士 相談 千代田区
- 債権回収 弁護士 相談 飯田橋
- 顧問弁護士 中央区
- 顧問弁護士 弁護士 相談 渋谷区
- 企業法務 弁護士 相談 飯田橋
- 法律問題 弁護士 相談 神楽坂
- 顧問弁護士 弁護士 相談 新宿区
- 不動産トラブル 弁護士 相談 新宿区
- 企業法務 弁護士 相談 文京区
- 不動産トラブル 弁護士 相談 渋谷区
- 債権回収 中央区
- 顧問弁護士 弁護士 相談 牛込神楽坂
- 法律問題 弁護士 相談 新宿区
- 顧問弁護士 弁護士 相談 千代田区
- 企業法務 中央区
- 不動産トラブル 中央区
- 不動産トラブル 弁護士 相談 神楽坂
- 介護事業トラブル 弁護士 相談 渋谷区
- 債権回収 弁護士 相談 渋谷区
- 企業法務 弁護士 相談 神楽坂
弁護士紹介
弁護士 福岡祐樹
- 所属団体
- 第一東京弁護士会
- 注力分野
-
債権回収
介護事業(経営側)
不動産
企業法務
- 執務方針
- 依頼者の皆様のご依頼、ご要望を最大限実現するために、誠実に粘り強く取り組みます。
- 経歴
-
2002年3月 香川県立高松高等学校 卒業 2006年3月 東京大学法学部 卒業 2008年3月 東京大学大学院法学政治学研究科 卒業 2009年12月 弁護士登録(62期)
田辺総合法律事務所入所
2013年3月 民間企業へ社内弁護士として出向(2016年3月まで) 2016年4月 中嶋法律事務所入所
- 著書・講演 等
-
『【Q&A】大規模災害に備える企業法務の課題と実務対応』(清文社・共著)
『会社が労働審判手続を申し立てられた場合の実務対応』
(BUSINESS LAW JOURNAL 2012.3 No.48)
『病院・診療所経営の法律相談』(青林書院・共著)
『企業間契約交渉におけるトラブルと実務上の留意点~契約締結上の過失を中心に~』(BUSINESS LAW JOURNAL 2014.4 No.73)
『わかりやすい保育所運営の手引-Q&Aとトラブル事例-』
(新日本法規・共著)
『逐条 破産法・民事再生法の読み方』(商事法務・共著)
事務所概要
名称 | 中嶋法律事務所 弁護士 福岡祐樹(ふくおかゆうき) |
---|---|
所在地 | 〒162-0832 東京都新宿区岩戸町7番地1 牛込神楽坂駅前ビル5F |
TEL | 03-3260-3620 |
FAX | 03-3269-1300 |
営業時間 | 9:30-18:00 ※時間外も対応可能です(要予約) |
定休日 | 土・日・祝 ※休日も対応可能です(要予約) |